「森崎さんは、思ったよりものんびりしてるんだね。伊勢君とか袴田君とか怖い人と話してるから、そんな人かなと思ったんだけど」


そんな風に見られてたんだ。


小川君はおとなしいからな。


教室でも、誰とも話さずにひとりでいる姿しか見た事がないし。


「私はいつもこんな感じだよ? お互い様だね。よく知らないのに決めつけてたのは」


「カラダ探し」をやっているのに、こんなにマイペースな人は初めて見た。


その緊張感のなさが、私の力をいい具合に抜いてくれたよ。


そんな小川君と調べた準備室。


カラダを探しながら使えそうなものを1、2個ポケットに入れて、残るは棚の一番上にある段ボール箱だけ。


遥と日菜子は、隣の部屋に行ったのかな?


まあ、この部屋は狭いから、4人いても仕方ないとは思うけど。


「小川君、あの箱を下ろしてくれないかな? 私じゃ届かないから」


「そ、そうだね。ちょっと待って……」


手を伸ばして、少しずつ箱を手前に引きよせる。


顔の前でブンブンと手を振って、払いのけなければいけないほどの量のホコリが落ちてきた。