「髪の毛も足もまっかっか~」
だんだんと歌声が大きくなって……こちらに近づいてきているのがわかる。
隣で聞こえる、フーフーという小川君の鼻息でさえ気づかれてしまいそうで怖い。
もしも、この教室の前を通られたら……息を止めてもらわないと、私達は死ぬ。
「どうしてどうしてあかくする~」
そして、渡り廊下の向こうから聞こえる歌声が大きくなった。
何にも守られていない丸裸の心は、ちょっとした事で崩れ落ちてしまいそう。
お願い……どうか、こっちには来ないで……。
強く、そう祈っていても、「赤い人」はその祈りを嘲笑うかのように襲ってくる。
まるで私がここにいるのがわかっているかのように。
「キャハハハハハハッ!!」
絶望が、私の鼓膜を震わせた。
まずい! 見つかった!!
ほんの少しドアを開けてただけなのに、それでも見つかってしまうの!?
動かなきゃ……逃げなきゃ!
そう頭で考えていても、迫りくる笑い声に身体が萎縮して動かない!
「キャハハハハハッ!!」
ついにその声が、ドアの前から聞こえた。
もうダメだ……今から逃げるなんて不可能だ。
と、完全に諦めた時……。
「キャハハハハハッ!!」