『「赤い人」が、生産……階に現……た。皆……をつけて下さい』
校内放送が流れて、私達は移動を開始した。
生産棟……どの階かわからないけど、二階だったら工業棟に行くのは危険が伴う。
それでも、立ち止まるわけにはいかないから。
「それで? またいじめられるって、隣のクラスの人?」
ホールから廊下に出て、西棟に入って階段に。
「違うよ……確かに、ヲタクヲタクってからかわれる事はあるけど、いじめってほどじゃないよ」
だったら誰が小川君をいじめているんだろう。
階段を上りながら、そんな事をしそうな人を思い浮かべた。
そんな事をしそうな人と言えば、武司でしょ……他には……。
ダメだ、武司しか思い浮かばない。
そもそも、「カラダ探し」の最中に考え事なんてできるはずがないんだよ。
神経を研ぎ澄まさなきゃ、「赤い人」に殺される。
「ごめん小川君。やっぱり『明日』聞くから。今は『カラダ探し』に集中しないと」
自分から聞いておいて、小川君には悪い事したな。
「う、うん。僕こそごめん」
謝る必要なんてないのに、小川君を謝らせてしまったよ。
なんか調子が狂うなあ。