キィィ……と、ドアが閉まる音よりも小さな声で。
「え? もちろんだよ。小川君と中島君、いつも仲がいいから一緒に行動するかと思ってたけど、ひとりで行っちゃったね。中島君」
武司を支えて、ホールの階段までやってきた。
「仲良くなんてないよ……」
ボソッと呟いたその言葉に、私は首を傾げた。
「仲良くないって、いつも一緒にいるし、いじめられてるのを助けてくれたりしてたじゃない?」
ホールに置かれている長椅子。
棺桶が見える所に武司を座らせて、私はモジモジしている小川君に尋ねた。
「だ、誰にも言わないでよ? 僕が言ったってわかったら、またいじめられる……」
何か……話は私が思っているのとは違った方向に向かっているような。
「とにかく、工業棟に行こう。話は聞くから。ね?」
「う、うん」
校内放送はまだ流れていない。
今から動いて、「赤い人」と鉢合わせする可能性があるなら、校内放送が流れるまで待った方がいいかな。
そんな事を考えていた時だった。