「こんなの、できない方がどうかしてるだろ。見つからずに教室を全部回ってカラダを集める。小学生でもできる事だ」
今の言葉、5年もかかった八代先生が聞いたらどう思うだろう。
高広だって怒りそうだよ。
一緒じゃなくてよかったね。
「中島君……あんなに嫌な人だったっけ? あんな言い方しなくてもいいのにね」
「本性が現れてきただけよ。外面だけじゃなくて、中身をよく見ていれば別に驚きはしないわ」
日菜子も感じている、中島君の違和感。
高広も一番信用できないって言ってたし……こういう事だったのかな。
だけど、この程度なら遥の方が毒を吐くと思うんだけどな。
それよりも……気になるのは武司だ。
今日も花壇にもたれてうな垂れている。
昼間の高広の行動は、何も意味がなかったのかな。
「ごめん、遥。私、武司を中に入れてから行くから、先に行ってて」
「放っておけばいいのに。どこにいたって、動かなければ待ってるのは死よ」
「わかってるけど、このままにはしておけないから。そうだ、小川君手伝ってよ」