「遥、中島君! 起きてよ! 『カラダ探し』が始まるよ!」
私の声で、目をさすりながら身体を起こす遥。
中島君も起きたようだ。
「眠った気が全然しない……嫌な夢を見たわ」
地面に手を突き、フゥッと息を吐く。
私もそう感じたからよくわかるよ。
夢は……見なかったけどね。
「今日も工業棟を調べるんだよね? 三神さんは『昨日』、どこまで調べたの?」
立ち上がって、スカートを手で払いながら日菜子が尋ねた。
「そうね、一階はもういいわ。今日は二階を調べて、それが終わったら生産棟に向かうわよ」
あ、どこまで調べたのか聞いてなかったけど、一階は終わらせてくれたんだ。
そうなると、「赤い人」から逃げるのもかなり楽になる。
二階には、生産棟につながる廊下がふたつあるのだから。
「まあ、誰かさんが本当に一日でカラダを全部見つけるのなら、今日で終わるけど……あてにはしないわ」
皮肉を込めた遥の言葉にまったく動じずに、中島君は鼻で笑った。