美紀を消滅させる事で、「カラダ探し」で歪められた時間を、正そうというのだ。
どんな世界になるかは大きな賭け。
「赤い人」も「カラダ探し」も存在しない世界に賭けている。
その翔太の話を、文句を言わずにジッと見据える遥。
日菜子も、私が教えた知識のおかげで、話には何とかついていけているようで、何度も小さく首を縦に振っていた。
話が終わる頃には昼休みになっていて、留美子と結子が屋上にやってきた。
「話は終わった? だったら私は行ってもいいわね? ご飯を食べなきゃ」
翔太の話を肯定も否定もせずに、留美子と結子と入れ違いに、遥は校舎の中に入った。
「翔太、ありがとね。私がやらなきゃならない事がわかったよ。さ、ご飯食べよ」
日菜子と一緒に立ち上がって、翔太の肩をポンと叩く。
「何か皆、難しい事考えてるんだね。私にはわからないわ」
昨夜初めて「カラダ探し」をした日菜子には難しかったかな。
それでも、飽きもせずに聞いてくれた事が、自分の事のようにうれしかった。
「え? あれ? ちょっとあんた達! 私と結子のふたりっきり!? それはあんまりじゃない!?」