まだって言われても……。


高広の顔を見てみても、何かを期待しているようで、口をへの字に結んでいる。











ごめんね……高広。


まだその気持ちには応えられないよ。


「美雪に『呪い』を押しつけて、私だけ幸せになんてなれないよ。だから、美雪が戻って『呪い』が解けるまで、それは待ってほしいな」


私の言葉に、呆れたように口を開けて私を見る留美子。


何か言いたいような感じがするけど、唇を動かすだけで声は出ない。


私……何か悪い事を言ったかな?


美雪の事を思えば、これくらいどうって事ないと思うんだけど。


生徒玄関に着いて、靴を履き替えた私達は校門に向かって歩きだした。


その視界に、校門の端で誰かを待っている様子の長い黒髪の生徒が映る。







あれは……。


「ねね、あれって遥じゃないの? 帰ったんじゃなかったの? 嫌だねぇ、待ち伏せなんてさ。ストーカーみたい」


留美子も、そこにいる遥に気づいたようだ。


あそこで待たれていては、知られずに学校を出る事はできない。


「マジかよ……俺は断るからな、絶対に」