そう言い残して、私は高広の後を追った。


部屋を出て、階段を下りた時には高広はもう玄関から出ていて、追いかけるのもひと苦労だ。


急いで玄関で靴を履き、外に出ると、高広は武司の部屋を見上げて、悲しそうな表情を浮かべていた。


「もう! 先に行かないでよ!! 私だけ置き去りにして!」


高広に歩みより、バシッと腕を叩いたけど、それに対しての反応はなかった。


「あのバカ、もうダメかもしれねぇな。『カラダ探し』で動かないなら、おとりに使うしかねぇぞ」


人をものみたいに使いたくはないけれど、放っておいたら「赤い人」に必ず殺されてしまう。


だからって、武司を連れて移動はできないし……。


悔しいけど、それしか方法がないという事は、私にもわかっていた。


その後高広は、気分が悪いからと家に帰った。


学校を出る時に、カバンを持っていったから、最初からそのつもりだったんだろうな。


どうせ「明日」が来ないのなら、私も家に帰ってもいいんだけど……携帯電話を開くと、いつの間に受信したのかメールが1件。


「あ、日菜子だ。何だろう」


とりあえず学校に戻るつもりではいたから、返事は学校でしようかな。