バキッという音が部屋の中に響いて、崩れ落ちる武司。
「た、高広!! ダメだって! 武司の気持ちもわかってよ!!」
慌てて止めに入るものの、高広の行動を私が止められるはずもなく。
倒れた武司を立ち上がらせると、もう一度殴ってベッドの上に倒したのだ。
「わからねぇなぁ! 美雪が示した可能性も待たずに、悲しみなんかに押し潰されたバカ野郎の気持ちなんてよ!! 世界中で一番かわいそうな奴だとでも思われたいんじゃねぇのか!?」
いつもの武司なら、こんな事を言われたら怒り狂って殴りかかってくるのに。
高広の挑発は、何の意味もなく部屋に響くだけだった。
「もうやめてよ! こんな事したって無意味だよ!」
「……そうみてぇだな。テメェみたいな腑抜けは、枕を抱いて眠ってるのがお似合いだぜ!」
ベッドを蹴り、高広は蔑んだような目を武司に向けて、部屋を出た。
何も変わってない……。
武司は相変わらず反応がないし、高広は怒っている。
「ごめんね武司。全部私のせいだってわかってるけど……早く立ち直ってほしいよ」