「あのなあ、中島の言う事なんて信じるなよ。俺はあいつが一番信用できねぇ。小川の方が百倍マシだぜ」
そんなに「カラダ探し」は簡単じゃない。
大口を叩いた中島君に、高広も怒っているんだろうな。
険しい顔つきの高広と歩き続けて十数分。
到着した武司の家。
両親は仕事に出ているのだろう。
チャイムを鳴らしても誰も出てくる気配がない。
「やっぱり返事がねぇな。勝手に入らせてもらうか」
そう言って、玄関の引き戸に手をかけた高広。
本当なら止めるべきなんだろうけど、武司の様子が気になるから。
戸を開けて中に入った高広に、私も続いた。
「お邪魔します……」
あいさつをしても返事はない。
何だか悪い事をしているみたいで、後ろめたい気持ちになるけど、高広はそんな事は微塵も感じていないようで。
靴を脱いで、一直線に階段に向かったのだ。
私も慌ててその後を追う。
階段を上がってすぐの部屋。
そこにノックもせずに入った高広は、部屋の中を見て、その動きを止めた。
いきなり殴りかからないように、私も部屋の中に入ると……。