そう感じた私は、同じようにカバンを持って、高広を追いかけた。
「ちょっと、高広。どこに行くつもりなの? もしかして……」
「武司んとこだよ。1発でも2発でも、目が覚めるまでぶん殴ってやる」
靴を履き替えながら、物騒な事を言う高広を止めようと説得するけれど、全然聞いてくれない。
朝に感じた全身の痛みは治まったけど、高広の腕を引っ張るとズキズキ痛む。
校門を出るまで必死に抑えたけど……私の力なんて、高広と比べたら大人と子供くらい差がある。
「もう! 私も行くからね! 『カラダ探し』の前に殺されたらたまらないから!」
「目ぇ覚ましてやるだけだよ。あいつ以外に、明日香を守れる奴がいるかよ……」
え……私のためなの?
私のために、武司を殴りに行こうとしているの?
だとしたら、余計にそんな事させられないよ。
「私なら大丈夫。遥もいるし、中島君なんてすごい自信なんだから。一日あれば、カラダを全部そろえるって言ってるんだから」
武司の家に向かいながら、私は屋上で言っていた事を高広に話した。
少しは安心してくれるかなと思って。