遥だけは考える事があると言って、屋上に残ったけれど。
自分の席に座って、先に戻った中島君を見てみると、いつもと変わらない、人当たりがいいように見える。
昨日の夜も遥は何か言ってたよね。
トロいのは小川君、乱暴者は武司で、気分屋が日菜子だとすると……中島君が性根の腐った奴?
いくらなんでも性根の腐ったってのは……言いすぎだよね。
「おい、明日香。武司はどうなんだ? あいつは……お前に協力してるのか?」
ぼんやりと観察していた私の顔をのぞき込むように、高広が視界を遮った。
「わわっ! 何!? ああ……武司? えっと……あゆみちゃんが1年も前に死んでた事になってるらしくて、何も反応がなかったよ。話しかけても、動かそうとしても」
私にしてみれば、自分のせいでという負い目があるから何も文句は言えない。
でも、高広は違うようで。
ドンッと、拳を握りしめて私の机を叩いた。
「あの野郎……まだあゆみの事で皆に迷惑かけてんのかよ! 何が皆殺しだ!」
突然怒りだして、立ち上がった高広は、机の横にかけてあったカバンを取り、教室の入口へと向かったのだ。
何か嫌な予感がする……。