「聞こえたの……今聞こえたんだよ! 留美子の声が!」
どこ?
どこにいるの?
私の前に姿を現してよ。
「本当にありがとう!! 私達を忘れないでいてくれて!」
また聞こえた。
どこにいるのよ!
こんなに人が多かったら分からないよ!
「留美子!! どこにいるの!? 教えてよ!」
胸が苦しいよ。
一目で良いから会いたいのに、姿が見えないなんて。
「も、森崎さん……あそこ!」
キョロキョロと辺りを見回す私の肩を叩き、指差した小川君。
その指が示す場所は……西棟の屋上。
「卒業おめでとう!!」
そこには、私に手を振る留美子達の姿があったのだ。
遥、美雪、武司、健司、そして八代先生。
やっと……やっと皆に会えた。