取り憑かれた健司と遭遇して、高広が足止めしてくれたよね。


誰もいない、窓から光が射し込む廊下。


思い出を探す……と言うより、夢で見付ける事が出来なかった皆を探していたのかもしれない。


一緒にこの日を迎えたかった皆の姿を。


だけど、学校のどこを探しても私が求めているものはなくて。








私達は生徒玄関へと向かった。










ホールの前に来ると、小川君が長椅子に腰かけていた。


「あれ? 小川君、帰らないの?」


「森崎さん……と、皆一緒なんだね。いや、ちょっとね。考え事をさ」


私達に近づき、涙を拭う。


卒業式で良いほど泣いたのに、また泣いていたのかな。


「考え事って……武司だよね?」


小川君が棺桶に入る時に言った言葉かな。


待ってるからまた会おう。


武司の約束は果たされる事がなくて、でも小川君はそれを信じて疑っていない。


「うん。袴田君は約束を破らないよ。だけど……もう卒業なんだね」


高広達は私達の話が分からない様子で退屈そう。