「うわーん! あ、明日香ぁ!」
卒業式が終わり、教室に戻ると私に抱きついて来たのは……結子。
武司を失って、いろんな男子生徒から交際を迫られたけど、誰とも付き合わなかったみたいだ。
特に何を言うわけでもなく、ただただ泣いている結子を抱きしめて、私もまた涙する。
先生が涙を拭きながら教室に入ってきて、教室の後ろには私達の保護者が。
「皆、席に着け。最後のホームルームを始めるぞ」
声が震えてる。
南田先生も、寂しいんだろうな。
最後のホームルーム。
南田先生の言葉は、私達をさらに涙させた。
三年間で治らなかった私達の悪い所、私達の良い所、一緒に過ごした日々の想いを、涙ながらに語る先生の姿。
私達の事を、本当に考えてくれていた先生だったと、この時初めてわかったよ。
保護者の中からも、すすり泣いているであろう音が聞こえる。
今日で終わりなんだと、実感が湧いたのはこの時。
いなくなった皆を感じられる学校とも、今日でお別れ。
別れって……こんな物なのかな。
悲しくて寂しくて……心にポッカリ穴が出来たみたいな。
そんな想いを感じて……私達の最後のホームルームは終わった。