それに涙して、どうして私は皆を忘れられなかったのだろうと思った時もあったけれど、月日が流れるにつれ、その想いも次第に薄れていった。
そして、あれから一年以上の時が流れたある日、私は夢を見た。
学校の、三年生の教室。
何をしているわけでもなく、自分の席で窓の外を眺めている。
空は暗くなり始めていて、クラスメイト達は既に帰宅しているであろう時間。
私も帰ろうと席を立とうとした時、廊下の方から話し声が聞こえたのだ。
普段なら特に気にする事もないそんな声が不思議と気になって、廊下に出て声がした方に顔を向けた。
「だからよ、俺は行かねぇっつってんだろうが!!」
「一回くらい良いでしょ! さてはあんた、会うのが怖いんでしょ?」
何か喧嘩でもしているような声だな。
それに……聞き覚えのある懐かしい声。
私は、姿は見えないけれど聞こえるその話し声の方に歩を進めた。
西棟の階段を上り2階へ。
「相変わらず素直じゃないのね。本当は会いたくて仕方ないのに」
「ああ!? 何言ってやがる! 殺すぞ! テメェも笑ってんじゃねえよ! ヲタク野郎!!」
「俺に当たるなよ、笑ってないだろ」
生産棟の方から聞こえたけど、姿は見えない。