駆け寄ってきた小川君の口から、耳を疑うような言葉が飛び出したのだ。 ……覚えてるの? 嘘、どうして? 私だけかと思ってたのに、小川君も武司の事を覚えている。 屋上でいやというほど泣いて、もう大丈夫と思っていたのに……。 我慢できずに目から涙が溢れる。 皆の身に何があったのかはわからない。 その説明もできないけど、死を伝えなければならない悲しみには勝てなくて。