「その気持ちはわかるわ。でもね、香山さん。誰に何が起こっても、『赤い人』を見ちゃダメよ。見たなら、絶対に振り返らないで」
だから、どうして日菜子には優しく言うのに、私には厳しいかな?
そんなに私が嫌いなの?
別にいいんだけどさ。
「あ……工房での話だよね。ごめんなさい、暗かったから、見たとは思わなくて……」
「次からは気をつけて。あなただって、何度も死にたくないでしょ?」
これが私だったら何て言われるか。
「小川君と中島君、まだだね。どうする? ここで待つ?」
「それでもいいけど、ここには私の事を嫌ってる人間がいるから、場所を変えましょうか。そうね……明日香達のいつもの場所にしましょ」
つまり、屋上だね。
だったら誰かにふたりが来たら屋上に行くように伝えてもらわないと。
「ねえ高広、小川君と中島君が来たら屋上に行くように言ってくれる?」
私達をジッと見ていた高広に伝えて、私達は教室を出た。
3人で屋上に移動して、ふたりが来るのを待っていると、遥から私に話しかけてきたのだ。