震えているのは地下だけじゃなかった。
屋敷全体が揺れていて、崩れ落ちた天井を避けて、何とか外に脱出する事ができたのだ。
「バカ野郎! お前も死ぬ気かよ!」
高広が、私の肩をつかんで怒鳴りつける。
その顔は本気で怒っていて……私を心配してくれたんだという事がわかる。
だけど……遥を置き去りにはしたくなかった。
「死んでほしくなかったの! 『カラダ探し』で、何もかも失った遥に生きてほしかった! 皆で協力すれば、生きていけるって感じてほしかったのに……」
涙をボロボロ流しながら、高広を見上げる。
その私の背後で……支えを失ったかのように小野山邸が音を立てて崩れ落ちた。
ホコリが舞い上がり、風が私達に吹きつける。
崩れた小野山邸を見ながら私は、その場に崩れ落ちた。
「遥……」
そう呟いて、涙が地面にこぼれ落ちる。
「おい、明日香……何だよこれ」
高広の声に、顔を上げた私は……涙を流しながらその光景を見ていた。