「ダメだ……もう息をしてねぇ」








言葉が出ない。


だけど、涙はボロボロと溢れて止まらない。


遥に頼まれて始まった「カラダ探し」から、ここまで来るのにはいろいろあった。


死にたくなるような悲しみや孤独も味わって、遥を心底憎んだ事もあったけど、遥は私以上の悲しみと孤独を抱えていた。


もしもこんな「呪い」なんてなかったら、普通の生活をしていたはずだったのに。


そんな遥の気持ちが痛いほどわかったから。


泣いている間にも屋敷の揺れはさらに大きくなり、天井が落ち始めていた。


「明日香、出るぞ」


そっと遥を床に寝かせ、立ち上がって私の手を取った高広。


「ま、待ってよ! 遥を……遥をこのままに出来ないよ!」


「連れて行ける状況じゃねぇんだよ! 今すぐ逃げねぇと!」


高広に強引に腕を引かれて、どうする事も出来ないままに、私達は地下室を出て階段を駆け上がった。


「遥! 遥が!」


天井が崩れ落ち、背後の地下室の入り口が瓦礫でふさがれた。


何度も引き返そうとしたけれど、その都度、高広が手に力を込めて私を引っ張る。