そんな私の身体に衝撃が走る。
「あうっ!」
次の瞬間、私は床に倒れていて……辺りを見渡すと、私が立っていた場所には遥が。
黒くて怖い人の腕に身体を貫かれて……私に手を伸ばして立っていたのだ。
え? なんで遥が……嘘でしょ?
私の事が嫌いで、いつも反発していた遥がどうして。
どうして私を助けるために身代わりになったのよ!
「遥! なんで……」
「か、勘違いしないで。明日香が……立ち止まってたから押しただけ……」
そう言うと、遥は力なくその場に倒れこんだのだ。
「テメェ!! くたばれ!」
高広の怒鳴り声が聞こえ、渾身の一撃が黒くて怖い人に叩き込まれた。
その直後、黒くて怖い人の身体が弾け飛び、黒い煙となり、壷に吸い込まれたのだ。
だけど、今の私にはそれよりも遥の方が気になる。
床を這って遥に近寄り、その身体に触れる。
手に、ヌルッとした液体が付着する。
「これ……どうしよう高広! 遥の血が止まらない!」
身体に触ってみるとわかる。