黒くて怖い人が振った手を容易に回避して反撃に出る高広。
ダメージを受け、黒い煙のようなものが身体から弾かれる。
見た目にも高広が押している事が分かる。
「ワタサナイ……エイエンニ ダレニモワタサナイ!」
怒りに満ちた禍々しい声。
殴られ続けて、小さくなったような……そんな気がするけど、その魂を削られそうになる凶悪な気配は変わっていない。
「しつこいわね、そろそろ消えてしまいなさい!」
さらに遥に似た子が力を込めると、黒くて怖い人は悶えるような悲鳴を上げた。
「グアアアアアッ!!」
それに合わせて、高広がグッ身体をひねって腕を後方に引く。
これで終わるかと思ったその時だった。
突然、黒くて怖い人の顔がこちらを向き、3人が押さえていない左腕が伸びたのだ。
あ……逃げられない。
私は壷を壊せばいいと油断していた。
まさか、私が標的になるとは思いもしていなかったから。