携帯電話の照明を向けて、一歩一歩確実に。


地獄に下りていっているかのような錯覚を覚える。


一段踏みしめるごとに、空気の冷たさが身体に突き刺さって。


そして不思議な事に、地下室からは青い光が漏れていたのだ。


高広と八代先生が見た時も、この光はあったのかな。


その時の高広ではないから聞いてもわからないよね。


「明日香、これを持ってろ。置いてあったから持って来たけどよ、俺よりお前が持ってた方がいいからな」


そう言って高広が渡してくれたのはスコップ。


「う、うん」


私はそれを受け取って階段を下りた。


そして私達はついに地下室に到着した。


ボロボロの布がかけられた祭壇。


その真ん中にある壷。


異様なのは、その壷から黒い煙が溢れ出ているのと、床に描かれているという魔方陣がぼんやりと光を発しているという事。


そして……それは唐突に私達の前に現れた。


黒い煙が魔方陣の上に集まり、人の形を成し始めたのだ。