暗く、不気味な庭を歩く。


風もなく、草が1本も揺れない静かな夜。


フワリと何かが私の目の前を通り過ぎて……。








「ひやっ!?」








妙な声を出してしまった。


「何だよ……気の抜けた声を出すんじゃねぇよ」


一歩先を行く高広には見えなかったのか……。


白く、ふわふわしたものが漂ってるんだけど。







これ……何よ!?


まさか人魂ってやつじゃ……。


こんな時に怖がらせようと出てくるなんて。


夜の廃屋……何が起こるかわからない。


でも、廃屋に入る前から人魂なんて勘弁してよ!


「何よこれ。明日香も見えてるんでしょ? ひとつ、ふたつ……3つの人魂が」