と、その時だった。
キュッ……。
キュッ……。
そんな足音が階段の方から聞こえて……遥が、私達の前に現れたのだ。
「何かおかしいと思ったのよね。1限ごとにひとりいなくなって。面白そうな話をしてるじゃない。私も混ぜてもらうわ」
肩にかかった髪を後ろに流し、私を見てフフッと微笑んだ。
遥……手伝ってくれるために何処かで待っててくれたのかな?
素直に手伝うって言ってくれればいいのに。
「遥……やっぱり気づいてたんだ」
涙を拭って、顔を向けた私に近づき、額をピンッと指で弾く。
「丸わかりよ。私の知らない誰かが、今日目覚める事くらいね」
不思議そうにしてたもんね、私達がひとりずつ屋上に行くのを見て。
遥が手伝ってくれるのは心強いよ。
「八代先生! 早く教えてよ!!」
遥の登場で中断された話を、留美子が再度聞き直した。
その答えは、八代先生じゃなくても私達が知っている。
「小野山美子のお墓は、この学校の東側、山の中にあるわ」