考えれば考えるほど悲しくなる。
しばらくして……そんな私の耳に、生産棟の方から足音が聞こえたのだ。
「赤い人」じゃない……靴がすれるような音。
それはどんどんこちらに近づいて、武司と留美子が息を切らせながら私達の前に現れたのだ。
「留美子! 美雪が……留美子が言った通り、屋上で……」
抑えきれなかった。
状況を伝えようとしただけなのに、悲しみが目から溢れて止まらない。
死んでいた……と、言う前に、言葉を遮るように留美子が口を開いた。
「言わないで! わかってるから。八代先生! 美子のお墓はどこ!? それくらい調べてるんでしょ!」
美子の……お墓?
まさかあそこに行くつもりなの?
「美子のお墓? どうしてそんな事を……」
「この美子の心臓を、美子の身体に返すの! だから、知ってるなら教えてよ!」
そう言いながら取り出した生々しい肉片に、私と結子は思わず小さな悲鳴を上げた。
「そ、それを美子に返す事ができれば、『呪い』は解けるのか……?」
出された心臓を、マジマジと眺める八代先生。
だけど、時間がないと言わんばかりに、留美子は冷たく言い放つ。
「だからそうだって言ってんでしょ! 知ってるの!? 知らないの!?」