翔太が抱えて離さないというのも、いっそうその悲しみを際立たせているように思える。


「翔太、美雪のために俺達がやらなきゃなんねぇ事があるだろ。留美子が言ってたじゃねえか。美子の『呪い』を解かねぇと……」


「嫌だ……俺は、美雪から離れない。美雪をひとりにしたくない」


強く……ハッキリと意思を示した翔太の言葉に、高広は何も言えなかった。


首に縄をつけてでも連れていくと、いつもの高広なら言うかもしれない。


だけど、この屋上でひとりで死んだ美雪。


その美雪を心底好きだった翔太の想いを感じて、何も言えなかったんだと思う。


無言でそこから離れた高広と共に、私達は校舎の中に入った。


美雪を、翔太に任せて。


大職員室の前に戻った私は、必死に悲しみに耐えていた。


少しでも刺激を受けたら泣いてしまいそう。


床に腰を下ろしてぼんやりしている高広の隣で、生産棟に行った留美子達を待って。


美雪が死んでしまった事は胸が張り裂けそうなくらいに悲しい。


だけど、そんな美雪を抱きしめて、離れないと決めた翔太の姿が痛々しくて。