美雪が死んだなんて考えたくはないと。
だけど、美子の「呪い」を解く決め手となる美子の心臓。
その存在だけは信じたいなんて虫がよすぎるかな。
不安だけど……私と結子は翔太と高広に続いて屋上へと向かった。
屋上に出て、南側に続く通路。
そこの奥に、崩れ落ちるようにして美雪を抱きかかえる翔太の姿があったのだ。
嘘……だよね?
嘘だと思いたいけど……高広が持つ、携帯電話の照明が床を照らし出して、そこに大量の血液が流れ出している。
「美雪……なんでこんな事に……」
涙を流して、その亡骸に頬を寄せる翔太。
美雪の遺体には、腹部と胸に穴が空いていて、留美子の言った事が真実なのだと理解した。
美雪が大好きだった翔太に、かける言葉が見つからない。
死ぬ瞬間、美雪は何を考えていたのだろう。
安らかな死に顔……だけどどこか悲しそうで、とてもじゃないけど見ていられない。