「高広ぉ、テメェに何がわかるんだ!? あゆみが言ったんだよ、私達を信じてくれってな!! だから俺は、留美子を信じてやるぜ!」


あゆみ……留美子といい、武司といい、ここにいるはずがない人の名前が出てくる。


遥が言ったように……ふたりはわずかな時間で、誰かの想いの世界に行っていたのかな。


そう、思いたくなるようなふたりの表情に、私は何も言えなくなった。


皆、ふたりの発言にどう反応していいかわからないで、首を傾げたり笑ってみたり。


「私と武司は生産棟の中庭に行く。信じられないなら、屋上に行ってみなよ。美雪が……死んでるから」


声が震えている。


ここにいる誰も知らないはずの美雪の安否。


それを、気絶していた留美子がどうして知ってるの?


信じたくない……他の何を信じても、その言葉だけは信じたくないよ。


「おいおい……知りもしないのに滅多な事は言うなよ……美雪が死ぬはず……」


「だから! 嘘だと思うなら行って見てくればいいでしょ!! 私は生産棟に行くからね! 武司! 行こう!」


そう言って、生産棟の方に向かって留美子は駆けだした。


信じられない……信じたくないと、翔太が今にも泣きだしそうな表情を浮かべて走りだした。


その翔太を追いかけるように高広も走る。


「た、武司……明日香ぁ、嘘だよね!? 美雪が……」


「そんなの私にもわからないよ……でも、もしも留美子の言ってる事が本当だったら」