武司も目を覚ましたみたいだ。
「キミも大丈夫かい? 柊さんといい、キミといい、いったい何が起こってるんだろうね」
「うおっ! 気持ちわりぃ顔を近づけんじゃねぇよ!!」
留美子にもしたように、八代先生が武司の顔をのぞき込んで、ひどい言われ方。
「し、失礼だなキミは! 仮にも僕は教師で……」
激しく拒絶する武司に、悲しそうに八代先生は呟いた。
「そんな事より、美子の『呪い』を解くってどういう事?夢でも見たんじゃないの?」
黒くて怖い人……それをどうすればいいのか私達にはわからない。
だけど、今の留美子は何かを知っているんじゃないかと、嫌でも期待してしまうよ。
「いい!? 私達にはまだやる事があるの!! 美子の心臓を探して、美子に返すの! 美紗が……そう言ってたの!」
美子の心臓……そして美紗?
美子の心臓って、そんなやばそうなものを見つけるなんて、どこで仕入れた情報?
美紗って、あの美紗?
何を言っているか理解に苦しむけど、留美子の目は本気そのもの。
「それはどこにある? 俺も一緒に行ってやるぜ」
混乱する私達の中で声を上げたのは……一番信じそうにない武司だった。
「おいおい、お前も頭を打ったのか? いきなり何だよ、美子の心臓って」