そう……思っていたのに。







世界が崩れ去って、真っ暗な世界が訪れたはずなのに。


そこに現れたのは、さっきと変わらないヒビ割れた世界。


崩れ落ちたというのが勘違いだったんじゃないかと思ってしまうけど、皆が同時に勘違いするなんて。


「……何だったんだよ、今のは。崩れたんじゃなかったのか?」


高広も不思議そうに辺りを見回している。


八代先生以外のそこにいる誰もが、崩れ落ちた世界を見たようで、驚きを隠せない様子。


「武司! 起きてよ、ねえってば!」


それも重要な事だけど、武司と留美子が倒れたんだった。


あの美紀の声は……光は何だったのか。
それを考えるのは後でいい。


今は、倒れた武司と留美子を起こさないと。


「ちょっと! 留美子どうしたの!?」


武司は結子が起こしているから大丈夫。


留美子に駆けより、顔に頬を近づけて見ると……感じる呼吸。


よかった、死んだわけじゃないみたいだね。


こんな状況だから、何が起こってもおかしくないと思えるから。