あるとすれば……「カラダ探し」で失ってしまった、大切なものが戻るかもしれないという期待かな。


「八代先生も、千春さんと再会できればいいね。お互いに離れていた記憶がないかもしれないけど」


からかうわけじゃないけど、そう言うと八代先生は顔を真っ赤にして、照れたように頭をかいた。


記憶がないとなると、この世界で感じた事も無意味になるかもしれないけどね。


それでも、その事だけが八代先生の最大の後悔であり、最大の望みなのだろう。


「ほら、翔太! 元気だしなよ! 高広みたいに、世界がどうなっても、美雪を見つけ出すって思ってればいいじゃん」


落ち込んでいる翔太の背中をバンッと叩き、励ます留美子。


それも効果がないほど翔太は落ち込んでいて、まるで老人かと思うくらいに老け込んで見える。


そして……私が美雪を想って西棟の屋上の辺りを見上げた時だった。











空間に入っていたヒビが……さらに激しくなって、ボロボロと崩れ落ちたのは。









「な、何これ!? 『呪い』が解けたの!?」


「世界の崩壊……始まったのか」


美雪が……この世界を終わらせたの?


やっぱり世界は崩れ落ちて、新しい世界になるのかなと不安になりながら、私は高広の腕をつかんだ。