「美雪、大丈夫かなあ。本当に『呪い』は解けるかな」


美雪の姿が見えなくなった途端に、オロオロし始める留美子。


「大丈夫だよ」と、月並みな言葉を言おうと口を開くと、私よりも早く武司が言葉を発した。


「ここまで来たら相島を信じるしかねぇだろうが。『呪い』が解けねぇなら、お前ら全員ぶっ殺すだけだけどよ。覚悟しとけよ」


結子の横で、私達を次々と指差してすごんでみせる武司。


だけど、私はそんな事はしないとわかってるよ。


そんなに悪い人じゃないもんね、武司は。


そんな中、「僕もその中に入ってるのかい?」と言った表情で、自分の顔を指差した八代先生が、何とかなだめようと一歩前に出た。


「まあまあ、僕にはわからないけど、世界が壊れかけているんだろう? この世界がどうなるにしても、もう後戻りはできないんだから」


八代先生はどう思って言ったのかな。


この世界が壊れてしまえばいい……なんて遥みたいな事は考えていないと思う。