「来た! 来たよ皆! はい、森崎です……わかりました。今行きます」
携帯電話を開いて、八代先生にそう返事をした私は、立ち上がって皆の顔を見回した。
その声で高広が起きて、何やらブツブツ呟いているけど、留美子が一喝。
私達は八代先生が待つ大職員室へと向かった。
大職員室のドアの前、八代先生はやってきた私達を見てコホンとひとつ咳払い。
「僕にできるのはここまでだからね。無理だと思ったら、校門の横に僕の自動車を回すから、その中で寝なさい。いいね?」
私の時と同じ事をしてくれようとしているんだな。
八代先生は覚えてないだろうけど、その言葉はありがたいんだよ。
八代先生、留美子、翔太……美雪は3人と話した後、覚悟を決めたような目を私達に向けた。
「ありがとう……じゃあ、行くね」
そう言って、美雪は大職員室の中に入った。
それからしばらくして、美雪が東棟側のドアから出てきた。
「赤い人」から話を聞く事ができたのだろうか?
美雪を待っている間に、留美子と翔太が話をしていて、ガックリと落ち込んだのはなぜだろう。