このわずかな時間。
皆が見守る中何があったんだろうと思いながら、私はその光景を見ている事しかできなかった。
先生が皆帰るまでの数時間、美雪は学校から出られないから、校内で時間を潰す。
その時が来たら、八代先生から連絡をもらえるようにと、私は高広と旧校舎に来ていた。
放課後の校舎、ひとりで歩くのは危険だからと。
旧校舎の職員室に入ると、八代先生が田村先生と話をしていた。
と、言ってもその内容は……。
「八代先生、今日一杯どうですか? いやあ、先日ね、いい店を見つけたんですよ」
「えっ!? あ、いや……その……今日は残ってやらなきゃならない仕事があってですね。またの機会に……というのはダメでしょうか?」
飲みに行くお誘い。
大人になると、こういう付き合いもあるんだなと、八代先生がやけに可哀想に思えた。
「どれだけ飲むんだよ。毎回誘われてねえか? 田村によ」
そう言えば、前も誘われていたのを予定変更してもらって、田村先生に怒られてたな。