6限目が終わり放課後。
「ほらほら、さっさと行くよ! 私達を待ってるんだからね!」
屋上に行けと急かす留美子にうながされて、高広や結子、武司までもがその剣幕に負けて教室から出ていく。
私も行こうと席を立ったその時だった。
「ずいぶん騒がしいじゃない。あれからどうしたの? 何も進展はなし?」
私の前に現れた遥が、不機嫌そうな表情で尋ねたのだ。
別に不機嫌になるような事はしてないはずなのに……やっぱり、日菜子が原因なのかな。
相変わらず遥とは話をしていないようだから。
「まだ進展はないかな……まだね。今日はちょっと用事があるから行くね。あ、元気出しなよ? 眉毛こんなだよ?」
そう言って遥に、両方の人差し指で眉毛を吊り上げて見せた私は、教室を出た。
「あ、明日香! まだ話が……もうっ!」
ゆっくり話を聞いてあげたいけど、先に美雪の所に行った皆と合流しないと。
話と言っても、早く「呪い」を解けとか催促されるだけだろうけどね。
急いで階段を駆け上がり、屋上に出た私は、留美子が美雪に抱きついている姿を目撃してしまった。