安心してよ、私が美子の「呪い」を絶対に解くからさ。
なんてとても言える状況じゃない。
自分を追い込んで追い込んで、後がない状態で挑もうとしている美雪に迂闊な事は。
少しでも不安を和らげたいけど、それを言ってしまえば気がゆるんでしまうかもしれないから。
「赤い人」に話を聞いて、美紀の「呪い」を解く。
そんな危険な事をしようとしている美雪の邪魔をしてはならないんだ。
言おうとした言葉を飲み込んで、私は美雪の頭をなでた。
「きっと大丈夫だよ。美雪ならできる。私は信じてるから」
安っぽい言葉だけど、それくらいしか思いつかなかった。
5限目が終わり、翔太と交代。
教室に戻った私は、自分の席に着いて深い溜め息を吐いた。
美雪は強いよね。
私なんて、誰からも覚えられてなくて、学校から出られないってだけで、この世の終わりみたいに感じていたのに。
自分が「呪い」を解くって決心したから、あんなにしっかりしているのかな。