留美子か高広か……その辺りが言ったのだろう。


「うん。今回はすごくひどくてさ、終わってもどうもスッキリしないんだよね。気持ち的にさ」


私はなるべく人に合わせて、問題が起こらないように学校生活を送ってきたつもりだったのに、幸恵が特別なのかもしれないけど、あんな風に思われていたとは思わなかった。


もしかすると、他にも私を恨んでいる人がいるかもしれないと思うと安心できないんだよね。


「そうなんだ……でも、笑顔が多いよね。何かいい事もあったんじゃないの?」


武司が立ち直って、遥の過去を知れて、悪い事ばかりではなかったけど、そんなに笑顔が多いかな?


意識してないからわからない。


「まあ、少しだけね。それより『呪い』は解けそう? あとは実行するだけだろうけど、怖くない?」


「わからないよ……美子が何を話したいのか。まだ『呪い』を解く鍵の場所がわかっただけだからね」


少しうつむいて、美雪は不安そうな表情を浮かべていた。


不安じゃないはずがないか。


美雪が「呪い」を解く事ができて、世界が変わってしまえば私が美子の「呪い」を解く必要はなくなる。


私はその時に備えているだけなのに不安なのだから。


完全に運命がその両肩にかかっている美雪が不安じゃないわけがない。


「でもさ、これは私にしかできない事だから。何があっても『呪い』は解いてみせるよ。じゃないと、家族が皆死んじゃって……私は生きていけない」


このまま、美雪の「カラダ探し」が始まってしまえば、終わった時にはひとりぼっち。


遥と同じように、辛い日々を送る事になるんだ。