このヒビはまるで鳥かごのよう。
私達をこの世界に閉じ込めている檻だ。
そんな事を考えながら、私は授業が始まるまでのんびりと過ごした。
1限目が終わり、2限目、3限目と、美雪が目覚めた特別な日なのに時間はいつもと同じように流れて。
休み時間になるたびに遥がチラチラと私達を見て、不思議そうに首を傾げていた。
相変わらず日菜子とは話ができないみたいで、見ているこっちがもどかしく思えるけど……遥の性格だったら、これから先も変わらず話をする事はないんだろうな。
昼休みになり、私は高広の荷物を持って、留美子と翔太と一緒に屋上へと向かった。
やっぱり武司は来ないみたいで、結子も教室に残った。
まあ、予想していたからいいんだけどね。
屋上に出ると、高広と美雪は何だか楽しそうに話している。
「美雪、ご飯持ってきたよ。って言ってもパンだけどね。それと、高広の荷物ね」
まるで留美子が荷物を運んだような言い方だけど、まあいいや。
私は高広に荷物を渡して、その隣に腰を下ろした。
雑談をしながら、皆でお弁当を食べる。
いつもやっていたような気がするけど、今日は何だか違うな。