1限だけならなんとかなるかな。
1限目は結子が行く。
教室に戻った私は、まだ誰もいない教室で自分の席に着いた。
「明日香、1限にひとりってのはいいアイデアだな。誰がどの時間に行くか、決めようか」
うれしそうに私に駆けよった翔太が、ニコニコしながら私の肩を叩く。
「はあ!? 俺も行くのかよ。何話せってんだよ、相島とよ」
「別に何も話さなくていいんじゃないかな? 一緒に人がいてくれるだけでうれしいもんだよ」
私の時は、誰もいてくれなかったから。
その寂しさを、犠牲になった美雪には味わわせたくないんだよね。
「そうだぜ武司、美雪がお前と話して楽しいわけねえだろ。寝てた方が気が安らぐってもんだぜ」
「なんだと高広! 化け物の前に、テメェを先にぶっ殺すぞ!」
武司が吠えるけど、高広はまったく相手にしない。
高広ではなく、翔太が話に割って入ったのだ。
「無益なケンカはやめろ! それよりも、何限目に行くか決めないとだろ?」
武司相手に強気だな。
翔太も小川君と同じように、前回の「カラダ探し」で武司と仲良くなったとか……。