「い、いた……美雪がいた!」
うれしそうな表情を浮かべる翔太。
でも、真っ先に駆けよったのは翔太ではなく留美子だった。
「いる、いるよ! ねえ美雪、起きなよ! 美雪。ほら、起きて!」
まだ起きるような気配がない。
私達は美雪を取り囲むようにしてのぞき込んで、まぶたが開くのを待つ。
しばらくして、ゆっくりとまぶたが開かれていく。
そして留美子の顔を不思議そうな表情で見詰めて……。
「あ……おはよう」
何の緊張感もなく、美雪はそう呟いたのだ。
「おはようじゃないよ! 皆、あんたを待ってたんだよ?」
留美子も翔太に負けないくらい、この時を心待ちにしていたに違いない。
皆口々に美雪に話しかけるけど、翔太は全然話ができなくて、後ろの方でメガネを外して目に手を当てているよ。
そして、ひとしきり話したところで、美雪が寂しくならないように思いついた事を伝えた。
「ちょうど6人いるから、1限ずつ交代で美雪の所に行くからね。屋上は誰も来ないから、そこで隠れているといいよ」
本当はずっといてあげたいけど、この前学校をサボってお墓に行った事で、昨日南田先生にこっぴどく怒られたんだよね。
次にサボって学校を抜け出すような事があったら、家に連絡するって言われたから。