それを、棺桶の中に眠る美子にそっとかけて……。
「うん、大きさはぴったりだね」
着せられないのが残念だけど、これで赤い服は美子のものになった……のかな。
校舎に閉じ込められている「赤い人」には届かないかもしれないけど、もしも美紀の「呪い」が解けて美子が解放されたら……いつかここに来るんじゃないかと思ったから。
私がやる事は終わった。
美子の遺体が突然起き上がって、私達に襲いかかる……なんて考えもしたけど、そんな事はまったくなくて。
それどころか、不思議な安らぎさえ感じていた。
「これで本当に『赤い人』の『呪い』が解けると思ってるの? 私は……そうは思えないけど」
蓋を閉じて、掘り返した土をその上に戻して、遥が呟いた。
「これだけで解けるなんて思ってないよ。『赤い人』は学校にいるんだし」
もしも次にここに来るなら、その時は間違いなく「赤い人」の「呪い」を解く時だ。
土はふんわりと被せておいたし、周りの地面よりもくぼんでいる。
掘り返しやすいように。
「そうね……だけど、もう一度来いって言われても、私は来ないからね。怖いわけじゃないけど……何か悲しいから」
そう言った遥の気持ちはわからなくもないかな。