そんな私に、遥は呆れたような表情を浮かべる。
「わかったわ。だったら早く掘ってよ。明るいうちにね」
言うだけ言って、手伝ってくれそうにない。
そもそも一緒に掘るつもりなら、スコップをもうひとつ持ってくるはずだよね……。
なんて思っていても仕方がない。
不安を感じながらも、そうだと思った場所にスコップを突き立て、私は土を掘り返し始めた。
黙々と、慣れないスコップを使っての作業。
さっと終わらせて、お弁当を食べよう……なんて考えてたのは甘かった。
高広と武司に一緒に来てもらうんだったと後悔して1時間。
休み休み、直径1メートル程の穴を50センチ程掘って、本当にここであっているのかと心配になる。
どれくらいの深さに埋葬されているのだろう。
その情報がまったくないというのは精神的に厳しい。
遥は穴を掘る私を見てるだけだし……何やってるんだろ。
と、少しイライラし始めた時だった。
ゴツッと、スコップの先に何かが当たる感触を感じたのだ。
石のように硬い物ではない。
何か、木材のような硬さの感触だ。
掘った穴の側面。
ギリギリの場所で掘り当てる事ができた。
それにしても、半世紀以上経っているとは思えないほど棺桶がしっかりしていて、それに角がある。