日菜子の事だけでも遥に何か言われそうなのに、武司まであんな事になったと知られたら……考えるだけで怖い。
「いって……きます」
準備をすませて家を出た私を、高広が大あくびをして待っている。
思ったように身体が動かなくて、歩くのも辛いよ。
「おう……って、どうした? 階段から落ちでもしたか?」
まともに歩いてるつもりだったけど、高広でさえおかしいと感じるんだから、本当におかしいんだろうな。
「いや……その……何でもない」
高広には関係のない「カラダ探し」の事を、話すべきか黙っておくべきか。
「何だよ……まだ昨日の事を怒ってんのか? 仕方ねぇだろ、帰る方向が一緒ならよ……」
ん? 何の話?
ああ、そう言えばそんな事もあったね。
だけど今はそんな事はどうだっていい。
「怒ってないって。それより高広、つかまらせて。身体のあちこち痛くて……」
すがりつくように腕をつかんだ私に、高広は驚いたような表情を浮かべた。
私が高広と腕を組んで歩いているように見えるかもしれないけど、誰に見られて冷やかされたって構わない。