「いい時間ね。行くなら行きましょう。早い方がいいでしょ?」
私が誘うよりも早く、遥がそんな事を言うなんて……意外。
ついてきてくれるにしても、嫌々とか、仕方なくだと思っていたのに。
まさか遥からの発信とは。
「うん。じゃあ行きますか。遥と買い物なんて、こんな状況じゃなかったら、行かなかったんだろうね」
「当然よ。まあ、『呪い』が解けるまでは一緒に行動してあげてもいいけど」
素直じゃないんだから……それってつまり、「呪い」が解けないならずっと一緒にいるって事?
クスッと笑って、私は校舎の中に入った。
「何よ、その笑いは。私は明日香に恩を売っておけば、何かの役に立つかと思って……」
はいはい、わかったよ。
遥は素直になれなくなっただけだよね。
母親に殺され続けて、クラスメイトに裏切られて、人が信じられなくなったのに、こうして手伝ってくれている。
それだけでいいよ。
「うわあ……思ったよりも高いね。予算ギリギリかも」
学校を出て、例の店に来た私達は、店の中にある洋服を見ていた。
赤い服……ワンピースとなると、結構な値段だ。
「140センチくらいだよね? だったらこの辺りかな」