高広も留美子も、武司の本当の姿を知らない。
それはそれで、ふたりが思ってる事だから間違いではないと思うけど、私が知ってる武司はそんなに安っぽい人間じゃないよ。
きっと、他人との付き合い方が下手なだけで、仲良くなってしまえば人情に厚いって事がわかるはずだ。
……私はそんな関係にはならなかったけど、小川君を見ていたらわかるよ。
「わからないよ? 留美子だっていつか、武司に助けてもらう時が来るかもしれないし。思ってるより悪い奴じゃないんだよ、武司は」
「はあ? あいつが私を助けるなんてあるわけないじゃない。助けられるより、レイプされる方が先だと思うね。賭けてもいいよ」
ひどい言われようだな。
レイプされる方が先って……そっちの方が可能性としては低いと思うんだけど。
口ではそんなような事を言っていても、強引に押し倒された事とかないし。
どちらかと言えば、一歩引いて見ているって印象を受けたから。
そんなどうでもいい事を話しながら、私達は学校に向かった。
学校に到着して教室。