ボソッとひとり言を呟いていたのだろう。
拾わなくてもいいところを留美子に拾われて、どう返事をすればいいのか。
「え? あ、何でもないよ。『カラダ探し』の話だから、もう終わった事だし」
慌てて手を振って、「カラダ探し」の事だと言えば深くは追及されないだろうと思い、そう答えた。
黒くて怖い人……美雪を信じている留美子には言っても説明が難しいだけだから。
水面下で動いて、万が一の事態に備えられればそれでいいから。
「それにしても武司の野郎。ずっと学校を休んでると思ったのによ。『カラダ探し』をさせられてたとはな」
いいタイミングで高広が発言してくれた。
留美子も、私のひとり言よりもそっちの方が気になるようで、高広に視線を移したのだ。
「あゆみちゃんがいなくて、ショックだったんだよ。あ、でもね、『カラダ探し』が終わる頃には元気になってさ、『赤い人』と毎日戦ってたんだよ?」
まあ、一度も勝てなかったんだけどね。
「んなもん、勝てるわけねえだろ。俺でさえ何度も殺されてるんだ」
「だよねえ、武司ってさ、口ばっかりって感じがするんだよね。何のためにそんな無駄な事してたんだか」