一緒に過ごした記憶が、全部なくなっているのは悲しいけど。


日菜子はそれがわかっていて、遥に殺すように言ったんだろうな。


ベッドから下りて、解放感半分、寂しさ半分で、私は学校に行くために制服に着替える事にした。


学校に行く準備をすませ、玄関から出てみると、不思議な事にそこに高広の姿はない。


いつもいつも私を待っていてくれたのに。


寝坊でもしたのかな。


同じ日にカラダをふたつ棺桶に収めたから、この日が少し変わってしまったんだろうな。


「いろいろ話したかったのに……そんな時に限っていないなんてね」


高広が来るのを待っていてもよかったけど、遥の事も気になるし。


どうせ学校で会えるんだからと、私は歩きだした。


いつもと同じ風景なのに、「カラダ探し」が終わったんだと思うと世界が違って見える。


何もかも元に戻った……とは言えないけど、この空気感は気分がいい。


純粋に爽やかな朝を満喫できるよ。


「えっと……まず、八代先生に美子のお墓の場所を聞くでしょ。小野山邸の地下もどんなだったか気になるし……遥は手伝ってくれるかな?」