そう言って、立ち上がったのは小川君だった。
「ふ、ふざけないでよ!! せっかく見つけた私の世界を奪わないで!!」
幸恵がそう叫んだ時だった。
長椅子に腰かけていた美紀が立ち上がり、不機嫌そうな表情で幸恵に近づいたのだ。
「んー、隠れるのもいいんだけど……もう飽きちゃった。だからお姉ちゃんはいらない」
そう言った美紀は腕を伸ばして、人差し指を幸恵の額につけた瞬間。
パンッという何かが弾けた音と共に、幸恵の額から血と脳みそが辺り一面に飛び散ったのだ。
私達は一瞬何が起こったのかわからなかったけど、幸恵の頭部が吹き飛び、その中にあるものと言えばそれしか思い浮かばなかったから、そうだと理解した。
この事で一番被害を受けたのは武司。
幸恵の血と脳をモロに浴びて、怒りも頂点に達したようだ。
「こんのクソガキが!! やるならやるって言いやがれ!! ぶっ殺すぞコラ!!」
「美紀ちゃんクソガキじゃないもん! おじちゃんなんか嫌いだもんねー!」
死亡した幸恵から手を放し、美紀に詰め寄る武司。
だけど、そんな事をしている場合じゃない。
「もう、やめなよ武司! 小川君が入るって言ってるんだから、何か言う事ないの!?」